倶楽部に最新の「快楽装置」が、導入されました。この不景気の中、大丈夫なん?と思いますが、嬉しいのは嬉しいです。まずは自分で味見(笑)。なんだか女王様で施術するよりこのマシーンに、自分自身が嵌りそう、、。まあその時は普段あまりやらないMもこっちで志願して、とか色々考えちゃう。
あっ下の文章は、最近復活してきたchikaの小説サイトのSMfで昔、書いた「男女獣・緒羅竜児の冒険」の一節です。昔からこの手のボンデージ好きなのよねぇ。
空蝉
嘩の分厚い手の平が人型の置物の頭を撫でる。勿論、女の形をした等身大の置物が動くはずがない。
「これは寂竜様が好んで使われた拷問機械だ。特に気位の高い男にはよく効く。なによりもこちらが楽しめるし、売り飛ばせば多少の儲けにもなるしな、、。」
陶製の気品のある顔に、はめ込まれたガラスの瞳の中に黒い円形の陰が移動する。
「私は、黄色人種なのに白人のような顔をしたお前が大嫌いだ。」
ドアがノックされた。嘩が再び寂竜の「顔」を被り直す。「顔」はその内部の虫が使う「繋ぎ止める力」で一瞬の内に寂竜の表情を取り戻した。
「寂竜様、寥虎様の伝言です。侵入者の二人を捕まえたらその者達を使って久しぶりにステージバトルを開催したいからその段取りを頼むと。」
「うむ。寥虎は物覚えはいいが、こういう事は苦手だからな。」
答えを待っている部下の前で、そう寂竜の声音でつぶやいてみた嘩だったが、こんな時、寂竜がそう反応するものかどうかは自信がなかった。
段取り屋の嘩の頭の中で一連の事務手続きが組み立てられる。だが嘩はもう支配人ではなく寂竜なのだ。寂竜ならこんな時、肝心な事だけを家に伝えて後は自ら動くことは決してない。
嘩を死んだことにして部下の中から誰かを昇格させようか、、、。それとも、、。
嘩は目の前で放尿ポーズをとり続けている全裸の陶製人形をちらり見た。
嘩の影武者をたてるのも面白い。どのみち俺は嘩に戻るつもりはないのだ。俺の皮をはいで誰かに与えよう。

そうだ、、女がいい。そうすれば俺は俺自身とマグわえるのだ。当てはある。
ヨンジャの街で、昔の女に産ませた娘を飼ってある。
上玉だったからいつか売りに出そうと思って大事に育てて来たのだ。あいつを使おう。俺が今、飼っている虫の半分でも女に寄生させれば、女は俺の皮を着こなせる筈だ。
その嘩の妄想は、寂竜のモノに似せた男根を勃起させた。嘩はにやりと笑ったつもりだが、その顔を覆っている寂竜の顔は不気味に引きつれただけだった。
「ご苦労、了解した。細かな段取りは嘩にさせると言っておいてくれ。もう下がってよいぞ。」
こうして寥虎の伝言を伝えに来た部下は何の疑問も持たず、部屋を退出した。
この部下の目に焼き付いたものは、寂竜という怪物じみた老人の股間が膨れあがっていた事だけだった。
寂竜は、シルク地のズボンを引き下ろすと、目の前の人形の耳の下にあるダイアルを回した。人形の顔の内側からアガガという神覇の声が漏れる。
人形の下顎が下がると同時に、その両頬の内側に仕掛けられせり出してくる突起物の為に神覇の口が強制的に大きく開けられた。
「これの欠点は下に埋め込んだ男の為にもう一度、紅を引いてやる必要がある事だな。それがいいという客もいるが、私は男が嫌いなんだよ。」
そう言いながも、嘩は己が怒張したペニスを人形の口の中に突っ込んでいった。
人形の中から神覇のなんとも言えぬ声にならぬ声が響いた。
「・・おお気持ちがいいのか、、。そうか、、。今、、良いことを思いついたぞ、、ステージのリングサイドには、お前を飾ってやろう。初デビューって奴だ。もしかしていい買い手がつくかもしれんぞ。」
・・これより二日前の事だ。

等身大の人形の中に無理矢理埋め込まれた神覇には、不思議な老人が世話役についた。ボロ布を縫い集めたようなフード付きマントを着ているので、その中の身体の子細は判らないのだが、彼の身体が酷く損傷しねじ曲がっているのは、視線の固定された神覇にも直ぐに判った。
神覇は、この老人と自分に与えられた食事の時間に少なからずの会話をした。
そのきっかけは、この老人が人形の口を開くためのネジをゆるめながら「二鬼にこんな目に遭わされる、、。あなたは日本人か?」と日本語で問うた事にあった。
「若い頃、世界中をヒッチハイクして回った。当初の動機も熱い思いさえ忘れてしまうような長い旅だった。ある貧しい国で、私は行き倒れ状態になった事がある。路上で横たわっている私を、蔑んだ目で眺めていく同胞の日本人旅行者を見ながら、心も病んで私は、ここで死んでもいいとさえ考えていたんだ。
私を助けてくれたのは現地の若い女性だった。彼女には何故か、私の事が日本人だと判った様だ。彼女自身が過去に日本人とのいわくがあったらしい。」
いつになく神覇は饒舌だった。理由は簡単な事だ。喋り続けなければ、心が己の置かれている肉体の状況に取り込まれてしまうからだ。
全身を固定され続け微塵も動けない姿勢が、これほど辛いことだとは、あらゆる武道を苦もなく身に付けてきた神覇にとって、初めて思い知らされる身体状況だった。しかもこの人形は女の形をしていて放尿のポーズを取っているのだ。
だが弱音を吐くことは神覇のプライドが許さなかった。
「旅は色々な事を教えてくれる。その最大のものは、人間追い込まれた時に何処までが許されるか、許されないのか、、、あるいは何をさして人間とよぶかだよ。」
「あなたはそれが判っているのか?」
老人はそう問い直してくるが、その声には実がなかった。心は既にここにあらず、ただ空蝉のような残骸が、己を未だに意志ある人間だと思いこみたいが故に喋っているようだった。
「いいや、判らない。だからそのルールを自分で決めた。それから私は少しだけ生きるのが楽になった。」
空蝉と言えば神覇も同じ事だった。だが神覇の場合は、老人とは逆で「空の姿」が、彼を呪縛しているのだった。
「彼の場合はそれが決められなかった、、。」
「過去形だね。もうその人物には会えないのか?」
「、、、、。排泄の時間だ。下のバルブを空ける。出しておいた方がいい。私がいつもここに来れるとは限らないからな、、。逆流すると困るだろう。誰もこの戒めを解かないのだから。」
神覇も老人も、お互いの持ち場に帰る時がやってきたのだ。